桐朋学園の高校生の頃からピアノ・聴音ソルフェージュを教え、大学を卒業して東京音大でピアノを教え、その長い経験がセラピーに役立っていることを感じます。

ピアノは全て個人と向き合って教えていくもので、試験の課題曲や発表会の曲目など、生徒が最も力を発揮できる曲を選んで演奏をする必要があります。つまり個人をよく知らなければそういう選択ができないのであって、失敗もあったかもしれないけど、これは長年培われた経験です。

個人をしっかり見るというピアノの先生をしていた時の経験が、セラピストになってとても役立っています、私は個人セッションが専門ですが、グループを見ていてもそれが生かされることが分かりました。つまりグループを一つの個体としてみた時に、そこからはみ出している大人や子どもをどうやってグループに参加させようかと考えます。ここでも個人を見たことが役に立っています。

私が今まで見てきた子どもたちは、一つとして同じ例はありません。同じ傾向の子や似たケースはありますが、周りを取り囲む環境の違いから、同じセラピーはできません。やはり学校環境や親御さんをよく知ることが大切です。最初の面接やその後の親御さんとのやり取りや、子どもの様子から多くの情報を得て、セッションに当たっています。

こういった経験なしで、いいセラピストにはなれないでしょう。或いはそういった努力を続けることが大切です。

三年前に、「音花の樹」というセラピストによる演奏グループを立ち上げてから、更にこれらのことを痛感しています。聴き手の方にフィットした曲の選択や演奏方法など、今までの経験がものを言います。「音花の樹」のメンバーには若い人もいますが、彼らは各々の現場で努力を重ね、更に磨きのかかったセラピスト・セラピストとしての演奏家になるよう、精進しています。