コミュニケーションの取れない人と、楽器演奏によるコミュニケーションです。
この日の彼は、セッションルームに置いてあったサッカーボールを持ってきて、「サッカー」と言いながらキャッチボールを始めました。キャッチボールをするということは、今日は先生とお話がしたいということです。キャッチボールは、彼らにとって大切なコミュニケーションの手段です。
ASDで自閉傾向の強いお子さんは、このキャッチボールをするのがとても難しいです。ですからできるようになれば、症状が改善されていく一つの目安となります。
彼は言語的コミュニケーションの取れない、重度の自閉症ですが、状態がいいとキャッチボールができ、悪い時はボールを即片付けてしまします。
サッカーボールで会話を楽しんだ後に、写真の太鼓を持ち出し暫く音楽に合わせて叩いていましたが、「サッカー、サッカー」と言い始めたので、「そうか、サッカーの試合でこんな太鼓の音がするもんね」と言い、更に会話が弾みました。
自分の叩く太鼓の音を聴き、サッカーの試合を見た時に、同じような音が鳴り響いていたのを想起したのでしょう。
こういった音楽によるコミュニケーションが常にできるわけではありませんが、チャンスが訪れた時には見逃さないことです。